和歌山地裁=和歌山市 交付金の不正支出を公益通報後に自殺した和歌山市職員の男性=当時(28)=の両親が12日、通報への不十分な対応が自殺の原因として、市に計約8760万円の損害賠償を求める訴訟を和歌山地裁に起こした。
亡くなったのは、岩橋良浩さん。訴状などによると、岩橋さんは2015年4月に採用され、18年5月に青少年課に異動。担当となった児童館で交付金の不正手続きを命じられて一時休職した。休職中に公益通報制度で内部告発し、市は約1900万円の不正支出があったとして、20年2月に職員15人を懲戒処分とした。岩橋さんは同年6月に自殺した。
遺族側は処分対象者を岩橋さんと同じフロアに配属するなど、市が安全配慮義務を怠ったと主張している。
両親が請求した公務災害認定は退けられたが、外部の有識者で構成する市の公正職務審査会は6日、岩橋さんへの対応や人事配置は不適切だったとする検証結果を公表した。
提訴後に記者会見した母啓子さん(64)は「無念を残して彼は亡くなった。正しいことをした人がなぜ守られないのか」と訴えた。
尾花正啓・和歌山市長の話 訴状が届いていないので、現時点でコメントは差し控える。