
静岡県浜松市の山奥で狩猟に従事しながら、映像制作や写真撮影を行なう小林成彦(@naru422)さん。この日、幼いお子さんたちと共に目撃したぞっとする光景をX(旧Twitter)に投稿。
「師匠『不自然に泥が掘られたような痕跡があったら子どもと近づいてはならぬ!』わい『どっかの子どものイタズラやろ…アイエエエ!これはマダニ!マダニのアンブッシュ!もう半分人工地盤の公園であっても獣が出入りしたら油断ならんということか…イッヌの散歩とかどうすんだこれ 』」
そんなつぶやきと共に投稿された動画は765万以上表示され、2万6千以上のいいねがつくと共に、驚きのコメントが殺到した。
獣がダニを落とす「泥地」に注意
「うわあぁぁっ。ヌタ場」
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「イノシシですか…」
「文章がぶっ飛びすぎて全然わからないんだけど、どういうこと?マダニが泥掘り返して獣が寄ってきて、散歩してる犬を襲うの?」
「アンブッシュは潜伏とか待ち伏せ(の意味)」
「ヌタうち回ってダニを落とす泥浴びですね」
「やつらはそこら辺の立木とかにもゴッシゴッシしますよ〜」
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コメントにもあるように、小林さんが投稿したのは、被毛に寄生したマダニなどを落とすため、野生の獣が身体を擦り付けた痕跡のある「泥地」と、子どものひざ丈ほどの高さの雑草の先に付着していた「マダニ」の様子。
もし子どもが雑草をかき分け泥地に侵入していたら…と想像するだけでぞっとする様子について、小林さんにお話を聞いた。
「マダニ」の危険度が高い野生動物は?
ーーやはり「イノシシ」のヌタ場でしょうか?
「断言するのは難しいですね。糞があったり、蹄の跡がはっきりわかればいいのですが…」
ーー「マダニ」の危険度が高い野生動物は…?
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「イノシシの場合は全身でパワフルな泥遊びをするので、ニホンジカに比べるとマダニの個体数はずっと少ない印象です。それでも100匹以上の話ですが。ただ、ニホンジカの場合は1000匹どころではありません」
ーー「泥地」以外にもマダニの危険度が高い場所はありますか?
「ニホンジカが通過するコースはだいたい決まっておりまして、舗装された道路であっても、道路際から伸びるススキや芝の葉先などにマダニが潜伏していることがあります。当地ではマダニが衣服などに付着していることに気づかず歩いている方もよく見るので、その都度『マダニが付いてますね!』と声がけして、テープで駆除させていただいてます」
「マダニ」に噛まれた際は医療機関へ
小林さんによると、「マダニの9割以上が獣の毛皮(皮膚)に寄生しているため、狩猟で捕獲した動物は毛皮を剥いだ後、袋などに密閉し、中性洗剤などで駆除することが多い」という。
「うちには小さな子どもが3人いますので、自宅にマダニを持ち込むことは絶対に避けたいですからね。もし咬まれた場合は、『マダニカード』などの専用のマダニ除去製品で確実にマダニを引き抜き、体調を見て医師の診断を受けています。ただし一般の方には、マダニの除去も医療機関でやっていただくこと、咬まれたらすぐに医療機関の受診をお勧めします」(小林成彦さん)
命を奪う「マダニ」による感染症
先日、マダニが媒介するウイルス感染症にかかった猫を治療した三重県内の獣医師が死亡。また茨城県内では、マダニを媒介とする人獣共通感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」陽性の飼い猫が死亡。ペットへの感染拡大や人への感染リスクが懸念されている。
もうすぐ夏休み。
山遊びや川遊びなど、子どもも大人も自然と触れ合う機会が増えるが、外遊びの際は、「動物の足跡などがある泥地」やその周辺の草むら、また、野生動物にはくれぐれも注意が必要だ。
(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・はやかわ リュウ)