拘禁刑導入「180度の転換」=再犯防止へ刑務官増員が課題―「保護司との連携にも有用」・専門家

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2025年06月01日 07:31  時事通信社

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時事通信社

浜井浩一 龍谷大教授(本人提供)
 拘禁刑の導入により、刑務所はどう変化するのか。専門家からは「一人ひとりの特性に応じて処遇するためには、刑務官の増員が必要」「出所後の受刑者をよく知ることにつながる」などの声が上がっている。

 刑務所での勤務経験がある元法務官僚の浜井浩一・龍谷大教授(犯罪学)は「従来の刑務官と180度違うことを求められている」と話す。「これまでの刑務所は規律と秩序の観点から、厳正な管理が重要だった。全員同じように扱うので、個々の特性を重視しない面があった」と振り返る。

 浜井教授は「刑務官は私的な会話をせず、受刑者を視線から外さないなど、危険な存在として監視することが徹底されていた。不適切な行動を取れば押さえ付けるという発想になっていた」と説明。受刑者が自ら考え、行動する機会を奪ってきたと指摘する。

 出所後も就職先になじめず、再犯防止につながらない側面があったという。その反省も踏まえて導入される拘禁刑については「全体として社会にとって良いと思う」と評価する。

 ただ、きめ細かい処遇を実施するには現在の職員数では足りず、「圧倒的に増やさないといけない」と強調。「受刑者は社会に戻ってくる。どのようになって戻ってきてほしいのかを私たち自身が考えないといけない」とした。

 拘禁刑の導入は、犯罪や非行をした人の立ち直りを地域で支援する民間ボランティア「保護司」の活動にも関わる。全国保護司連盟の吉田研一郎事務局長は「出所後に孤立させず、そばで寄り添う人の存在が大事だ」と語る。

 就職などのハードルが高い中、保護司らが悩みを聞きながら支えることが必要だと指摘。特性が以前より把握できるようになれば、保護司も刑務所から情報を引き継ぎ一貫した対応ができるとし、「なり手にとってもポジティブな影響がある」と期待した。 

拘禁刑導入の影響について話す全国保護司連盟の吉田研一郎事務局長=5月22日、東京都渋谷区
拘禁刑導入の影響について話す全国保護司連盟の吉田研一郎事務局長=5月22日、東京都渋谷区

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  • 人は「他人を罰する」ことが大好きだけど、「更生」のほうが合理的なんだよ。北欧のように、罰よりも更生重視の国では、再犯率は低いのだ。
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