【宝塚記念予想】AIは大きく評価が割れる一頭を指名 直近のパフォーマンスが最大のポイントに

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2025年06月11日 20:30  netkeiba

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宝塚記念に出走予定のショウナンラプンタ(c)netkeiba
【文・構成:伊吹雅也(競馬評論家)=コラム『究極のAI予想!』】

netkeibaにある膨大な競走成績を人工知能によって機械学習するAiエスケープを開発したAIマスター・Mと、レースデータの分析を専門とする競馬評論家・伊吹雅也による今週末のメインレース展望。コンピュータの“脳”が導き出した注目馬の期待度を、人間の“脳”がさまざまな角度からチェックする。
(文・構成=伊吹雅也)

◆上位人気馬の好走率がそれほど高くない点をどう見るか

AIマスターM(以下、M) 先週は安田記念が行われ、単勝オッズ4.3倍(2番人気)のジャンタルマンタルが優勝を果たしました。

伊吹 強かったですね。五分のスタートからスムーズに先行し、先手争いを繰り広げたウインマーベル(5着)とマッドクール(10着)のすぐ外、単独3番手のポジションで3コーナーから4コーナーを通過。残り400m地点を過ぎたところで前の2頭を捕らえにかかり、残り200m地点のあたりで先頭に躍り出ています。その後、中団から伸びてきたガイアフォース(2着)、ソウルラッシュ(3着)、ブレイディヴェーグ(4着)が決勝線の手前で差を詰めたものの、並びかけられることなくセーフティリードを保ったまま入線しました。それほど先行有利な流れではなかったと思うのですが、一分の隙もない完璧な横綱相撲でライバルたちの追撃を封じた形。手綱を取った川田将雅騎手も、鞍上の期待に応えたジャンタルマンタルも、お見事と言うほかありません。

M ジャンタルマンタルは自身3度目のGI制覇。大敗直後、かつ長期の休養明けでしたし、陣営にとっても会心の勝利だったのではないでしょうか。

伊吹 前走の香港マイルは、スタートがそれほど良くなかったうえ、ゴール前の直線で他馬と接触するアクシデントもあり、13着に大敗。個人的には次走以降への影響を懸念していたのですが、気にする必要はなかったみたいですね。もともとコース適性の高さは証明済みで、今回のメンバー構成においては実績上位。この馬自身や陣営の地力をもう少し素直に信頼するべきだったと反省しています。

M 次走は未定とのことですが、今後も目が離せませんね。

伊吹 今回の勝利により、ジャンタルマンタルはこの秋に行われるBCマイルへの優先出走権を獲得。先行力が高く、どんなコース形態のレースであってもそれなりに力を発揮できそうなタイプですし、国外のビッグタイトルを獲得するチャンスは十分にあるのではないでしょうか。もちろん、マイルCSを目標に据えて国内最強マイラーの座を確固たるものにする算段であっても、それはそれでとても楽しみ。馬券上の扱いに頭を悩ませつつ、これから先のパフォーマンスをじっくり味わっていきたいです。

M 今週の日曜阪神メインレースは、現役屈指の実力馬が一堂に会する上半期のグランプリレース、宝塚記念。昨年は単勝オッズ7.5倍(3番人気)のブローザホーンが優勝を果たしました。なお、その2024年は単勝オッズ16.9倍(7番人気)のソールオリエンスが2着に、単勝オッズ11.6倍(5番人気)のベラジオオペラが3着に食い込み、3連単9万1680円の好配当決着となっています。

伊吹 過去10年の宝塚記念における3連単の配当を振り返ってみると、平均値は14万6004円なのですが、中央値は4万8335円。高額配当が飛び出した年も複数ある一方で、半数の5回は3連単3万円未満の決着でしたから、荒れやすいレースという印象はありません。

M とはいえ、過去10年の単勝人気順別成績を見ると、単勝1番人気の馬、単勝2番人気から3番人気の馬は、いずれも3着内率が4割ちょうど。他の重賞と比べたら物足りない水準です。

伊吹 より実態に即した区切り方をすると、単勝4番人気から単勝7番人気の馬は2015年以降[2-5-4-29](3着内率27.5%)、単勝8番人気から単勝12番人気の馬は2015年以降[1-3-3-42](3着内率14.3%)、単勝13番人気以下の馬は2015年以降[0-0-0-31](3着内率0.0%)となっていました。上位人気馬も超人気薄の馬も強調しづらいレースなので、中位人気くらいの各馬をどう評価するかがポイントになってくるのではないかと思います。

M そんな宝塚記念でAiエスケープが指名した特別登録時点の注目馬は、ショウナンラプンタです。

伊吹 面白いところを挙げてきましたね。ちょうど中位人気くらいにとどまりそうな雰囲気ですし、配当的な妙味がありそう。

M ショウナンラプンタは4歳馬。重賞未勝利ではあるものの、前走の天皇賞(春)で3着に、4走前の菊花賞で4着に健闘しています。3走前の日経新春杯で2着となっていますから、2200mの距離も問題ないはず。積極的に狙ってみたいと考えている方も多いのではないでしょうか。

伊吹 ただ、上位人気となりそうな馬に比べると、実績面で一枚見劣りするのもまた事実。見方によって大きく評価が割れる一頭と言って良いかもしれません。Aiエスケープが有力視していることを踏まえたうえで、私はレースの傾向からこの馬の好走確率を見積もっていきたいと思います。

M 最大のポイントはどのあたりですか?

伊吹 まずは直近のパフォーマンスを素直に評価したいところ。2021年以降の3着以内馬12頭中9頭は、前走の着順が2着以内でした。

M 基本的には前走好走馬が優勢、と。

伊吹 なお、前走の着順が3着以下・競走中止だったにもかかわらず3着以内となった3頭は、いずれも前走の条件が“JRAの、GI”、かつ前走の距離が2400m未満だった馬。今年のメンバー構成なら、前走で連対を果たしている馬と、大阪杯からの直行組を重視するべきでしょう。

M 先程も触れた通り、ショウナンラプンタは前走が天皇賞(春)で、当時の着順は3着。惜しいところではありますが、厳密に言うとこの条件をクリアできていません。

伊吹 あとは脚質も見逃せないファクターのひとつ。前走のコースが国内だった2021年以降の3着以内馬10頭中9頭は、前走の4コーナー通過順が6番手以内でした。

M なるほど。先行力が高くない馬は、疑ってかかった方が良さそうですね。

伊吹 おっしゃる通り。京都芝2200m外で施行された2024年を含め、先行有利とは言い難いレースなのですが、末脚を活かすような競馬しかできないタイプは、評価を下げるべきだと思います。

M ショウナンラプンタは前走の4コーナー通過順が3番手。差し馬ではあるものの、積極的な競馬をした直後である点はプラスと見て良いでしょう。

伊吹 さらに、同じく2021年以降は、父にステイゴールド系・ディープインパクト系・ミスタープロスペクター系の種牡馬を持つ馬がやや苦戦していました。

M こちらもなかなか興味深い傾向。それぞれ、現在の日本競馬界においては主流のひとつと言える父系です。

伊吹 しかも、父にステイゴールド系・ディープインパクト系・ミスタープロスペクター系の種牡馬を持つ馬のうち、“同年の、JRAの、GIのレース”において1着となった経験がない馬は2021年以降[0-1-0-33](3着内率2.9%)。年明け以降のビッグレースを勝っているような馬でない限り、これらの父系に属する種牡馬の産駒は過信禁物と見るべきでしょう。

M ショウナンラプンタの父はディープインパクト系に属するキズナ。そして、ショウナンラプンタは同年のGIどころか重賞を制した経験すらありません。

伊吹 こうした傾向があることから、私は無印にするつもりでした。もっとも、Aiエスケープは狙い目と見ているわけですし、押さえておくに越したことがないくらいの人気薄であるのは事実。実際のオッズを確認したうえで、余裕があれば無理せず買い目に加えようと思います。

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